無策1年 腹は再稼働 第三者委「手はあった」

2012年5月19日 読売朝刊
最終更新日: 2012年5月19日
無策1年 腹は再稼働 第三者委「手はあった」
2012年5月19日 朝刊
 
 政府は十八日、北海道、関西、四国、九州電力各社の管内で電力需要がピークを迎える夏に向け、計画停電の準備を進めると発表した。政府の第三者委
員会では、節電策について具体的な提案もあったが、政府と電力会社は原発が再稼働しない場合の対策から目を背け続けた。 (山口哲人)
 「原発が稼働しないことは昨年の今頃ははっきりしていた。(対策を練る時間は)一年以上あったのに電力各社、政府に戦略は感じられず、場当たり的な対応に終始した」
 電力会社が主張する電力不足が妥当かどうか点検する政府の第三者委員会。最終回となった十二日の会合で、阿部修平委員(投資顧問会社の社長)は電力会社と政府が原発の供給力をあてにし、有効な対策を講じなかったことを批判した。
 笹俣弘志委員(コンサルタント会社関係者)も「需給が逼迫(ひっぱく)することが分かっていた昨年から取り組んでいれば、無理のない節電ができた」と嘆いた。
 笹俣氏は(1)火力発電では使う燃料を、費用が最も高い石油から他の燃料に転換(2)石油より安いガス火力をさらに発電効率が高い設備に更新(3)電力需要のピーク時間帯に消費量を自動的に抑える仕組みの導入-など「打つ手はあった」と指摘。
 その上で「先手を打てば、安定供給はでき、燃料費のコスト増もかなり緩和される」と、料金の値上げをちらつかせる電力各社をけん制した。
 だが、こうした委員の声は政府には届かなかったようだ。十八日の閣議後会見で枝野幸男経済産業相は「コスト面から電力会社が原発を動かしたいと思うのは当然」と電力会社を擁護した。
 枝野氏は「中長期の原子力政策が決まっていない段階で、電力会社に新たな(原発以外の発電所の)設備投資を強いることはできない」とも指摘。この一年間、電力の供給力が増えなかったことが、今回の節電要請と計画停電の準備に至ったと釈明した。
 昨年三月の東京電力管内での計画停電は国民の生活や企業活動を混乱させた。一年間という時間がありながら十分な対策を練ることなく、再び計画停電を持ち出した政府。「それが嫌なら原発の再稼働を」という本音が垣間みえる。